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森林資源を未来につなぐ間伐の仕事と間伐材活用の取り組み

2026.03.19

森林を健全な状態に保つために欠かせない作業のひとつが、木々が密集しないように一部の木を伐採する間伐です。しかし、間伐を継続的に行うには人手不足や資金面、伐採した木の使い道などの面で課題があります。間伐によって生まれた木材は、私たちの身近なところにも利用されていますが、その流通量は決して十分とはいえません。この記事では、間伐材活用の実態や課題、持続可能な地域循環を生み出す間伐材の活用についてご紹介します。

◎森林を守るために欠かせない間伐の仕事

日本は国土の約7割を森林が占める、世界でも有数の森林大国です。その森林には、自然に育った天然林だけでなく、人の手によって植えられたスギやヒノキなどの人工林も多く含まれています。現在、日本の森林の約4割は人工林といわれており、日本で人工林が広がった背景には、戦後の復興期に進められた拡大造林があります。当時は木材需要の高まりから、全国各地でスギやヒノキが大量に植えられ、人工林が広がっていきました。

この人工林を健全に育てるために欠かせない作業が間伐です。間伐とは、成長途中の木々から一部の木を伐採し、森林の密度を調整する作業のことです。木が密集したままでは日光が地面まで届きにくくなり、木の成長が妨げられるだけでなく、下草伐が育たず土壌が弱くなる原因になります。適切に間伐を行うことで、残された木が十分に光や養分を得られるようになり、森林全体の健全な成長につながります。間伐によって森に光が差し込むと、下草や低木が育ちやすくなり、土壌が安定します。森林の土壌が安定することで土砂崩れの防止にもつながり、その地域で暮らす人々の安全も守られます。土壌の安定は植物の生育を促すほか、雨水をゆっくりと地中に浸透させ、川を通じて栄養分を海へと流す働きもあります。また適切に管理された健全な森林は多くのCO2を吸収し、地球温暖化の抑止にもつながります。

このように間伐は森林だけでなく、人々の暮らしや沿岸部の環境を健全に保つために欠かせない作業です。しかし、輸入木材の増加などの影響もあり、森林の手入れが適切に行われず放置される山林も増えており、問題となっています。人工林は放置すると質の悪い木が増え、土壌が安定せず荒廃し、人々の暮らしに影響を及ぼします。間伐を行う前提でつくられた人工林には、自然林のように自ら健全な状態をつくる機能は備わっていないため、人の手で管理する必要があります。

◎間伐作業が進まない現状

間伐作業が進まない現状

森林を守るために欠かせない間伐ですが、日本では決して順調に進んでいるとはいえないのが現状です。間伐が必要な人工林を造成したにも関わらず、作業が滞っている背景には、林業を取り巻くさまざまな問題があります。日本の林業は、長年にわたり人手不足が懸念されています。山林での作業は体力的な負担が大きく、命の危険も伴います。さらに地形によっては機械化も難しいため、若い人材が参入しにくいという課題があります。また地方の過疎化に伴い、所有者不明の山林が増加していることも間伐作業を難航させています。さらに、林業従事者の高齢化も進んでおり、森林整備を継続的に行う体制を維持することが難しくなっている地域も少なくありません。

間伐は木を伐採するだけでなく、その木を搬出するための作業や設備が必要です。とくに山間部では、作業道の整備や重機の導入などに多額の費用がかかる場合も多く、経済的な負担が大きくなりがちです。木材価格が低迷している状況では、間伐を行ってもじゅうぶんな収益を見込めず、伐採した木がそのまま山林に放置されるケースも増えています。森林管理のために伐採した木を放置すれば、下草の生育が阻害され土壌の状態が不安定になります。それはつまり、森林を破壊する行為にほかならないのです。まして、日本の木材市場では、海外から輸入される木材の割合が高い状況が続いています。輸入材は価格が比較的安価であることから、国産の木材は価格面で競争に勝てず、需要が伸びません。また間伐によって得られる間伐材はサイズが小さいことも多く、建築材として高値で取引されにくいうえ、一般的な木材に比べて用途が限られています。そのため、間伐によって得られる木材の価値が評価されず、森林整備への意欲も高まりにくいという側面があります。

間伐は森林を健康に保つために欠かせない反面、必ずしも利益を生みやすいとはいえません。こうした経済的な事情も、間伐が思うように進まない大きな理由です。森林整備を継続するには、間伐材の価値を高め、さまざまな分野で活用していくことが求められます。

◎森林資源の価値を高める間伐材活用の取り組み

森林資源の価値を高める間伐材活用の取り組み

間伐作業を滞りなく行うための解決策のひとつが、継続的な間伐材の需要を生み出すことです。間伐材をどのように活用していくかは森林資源の持続的な利用を考えるうえで大切なテーマです。こうした背景から近年、国や自治体、企業の間で、間伐材を積極的に活用しようとする取り組みが行われています。

〇身近なものに活用する

間伐材という言葉はよく聞かれるようになってきましたが、どのような材料かはまだあまり知られていません。まずは人々が身近にある間伐材について知り、積極的に活用することが大切です。間伐材製品の存在が広く知れ渡り、利用が進めば需要が増え、間伐作業を継続しやすくなります。近年では間伐材を用いた商品も増えてきていますが、まだまだ浸透しているとはいえません。間伐材と聞くと、特別な用途に使われると思われるかもしれませんが、実際には私たちの身近なところに活用されています。たとえば箸や鉛筆などの身近な商品をはじめ、コンビニエンスストアの紙コップ、オフィスで用いられる名刺や紙製品の原料にも間伐材が活用されています。また建築分野でも、壁や床の下地材として、また上質なものは構造材に活用される場合もあります。間伐材を活用した製品には、パッケージに間伐材マークがついており、1人ひとりが意識して選びやすいよう配慮されています。このように間伐材は、私たちの暮らしの身近な場面に取り入れやすくなってきています。

〇長く使えるものに活用する

間伐材は用途が限られているため、割り箸や紙コップなど比較的短期間で消費されるものに利用されることも少なくありません。もちろんこのような利用も森林資源の活用を促す取り組みのひとつではありますが、焼却されることでCO2が発生するため、環境負荷となる一面もあります。そこで間伐材を長く使える製品に活用し、森林資源としての木材の価値を高める試みが徐々に浸透し始めています。たとえば食器やベンチなどのエクステリア製品や家具などは、日常生活で長く使われる製品であり、木という素材の魅力を感じながら大切に使い続けることができます。長く使える製品は、暮らしのなかに木のぬくもりを取り入れる存在として高い価値を持っています。これは、木材を単なる使い捨ての材料として消費するのではなく、より持続可能な形で活用していこうという考え方です。これからの森林との関わり方を考えるうえでは、間伐材を長く残る資源として大切に活用していく視点が求められます。

〇地域の資源として活用する

森林資源を持続的に活用するためには、木材をどこで生産し、どこで使うのかという考え方も大切です。そこで注目されているのが、地域の木材を地域で活用する持続可能な木材利用の考え方です。地域で育った木を地域の会社で加工し、その土地特有のものとして人々に届けることで、森林整備に関わる林業や木材を扱う仕事が支えられます。木材の価値が高く評価されれば、間伐作業が継続しやすくなり、結果として森林保全につながります。その土地の自然を守るために生まれた間伐材を地域内で活用することは、森林環境の維持だけでなく、地域産業の循環にもつながります。このようにして日本中の地域内で間伐材の活用が進めば生活に浸透し、需要が安定します。間伐材を地域の資源として循環させることは、森林資源の価値を高める大切な取り組みといえるでしょう。

◎湘南・箱根地域で広がる間伐材活用の可能性

湘南・箱根地域で広がる間伐材活用の可能性

地域で生まれた間伐材を活用した製品づくりは、その土地ならではの魅力を伝えることにもつながります。たとえば湘南・箱根地域でも、箱根の森林を守るために生まれた間伐材をいかし、ものづくりを中心とした地域産業の輪が広がっています。それは、その地域を訪れた人にしか出会えない特別な価値を持つ商品として活用する取り組みです。木のぬくもりを通してその土地の自然やものづくりの背景を感じられる商品は、単なる日用品や消耗品ではなく、地域の森林資源の大切さを伝える重要な役割も担っています。

湘南・箱根地域における地産地消を意識した木材の活用は、森林資源を無理なくいかしながら地域経済を支える仕組みでもあります。箱根地域の森林で間伐された木材が地元の製材所や加工事業者、多様な職人たちの手仕事を経て、地域の店舗や生活のなかで活用されれば、木材資源は高い価値を持つ存在になります。湘南の海を訪れる観光客やビジネスでこの地域を訪れた人が、その土地で生まれた間伐材商品を通して箱根の森林事情やものづくりの背景を知ることができれば、その土地の魅力はさらに広く伝わっていくと考えられます。

このような間伐材を通した地域循環の流れが生まれると、林業や木材加工など森林に関わる数多くの仕事が支えられ、木に携わる多くの産業が活性化します。地域産業は、分業という横のつながりによって成り立っており、定着すれば多くの安定した雇用も生まれます。地域産業が活発になれば国産木材の需要が高まり、森林管理に必要な資金を生み出せる可能性が高まります。それは結果として継続的な間伐作業の実施や、間伐材の活用にもつながるのです。森林整備によって生まれた資源が地域で活用され、その価値が再び森林へと還元されていく循環こそが、持続可能な森林資源の利用につながっていきます。

◎ まとめ

間伐は、森林を守るために欠かせない大切な仕事ですが、現在の日本ではさまざまな理由から思うように進んでいないのが現状です。しかし、山林の管理は地域社会と密接に関連しているため、持続可能な間伐の進め方を考えなくてはなりません。地域資源としての価値を生み出す間伐材の活用は、林業全体を活性化させ、日本の伝統技術を未来につなぐ可能性を秘めています。SHONAN HAKONE PROMOTIONSでは、湘南・箱根地域を中心に、地元の素材を活用したものづくりや文化を循環させる取り組みを行っております。本プロジェクトにご興味を持っていただけましたら、お気軽にお問い合わせください。